さしって何?
高級な牛肉といえば、すぐに連想されるのが“霜降り”。これはもう日本人の条件反射ですね。いわゆる“さし”とはこの霜降りのことを指します。専門用語では「脂肪交雑(しぼうこうざつ)」というものです。筋肉の中に脂肪が入り込んで沈着している状態をいい、決して誰かさんのお腹のように脂肪だけがでーんと幅をきかせている状態のことではありません。霜降り肉の美味しさは、脂肪の美味しさといっても過言ではありません。その中でも和牛はさしが入りやすく、脂肪の融点がほかの種類に比べて低いため、口の中で程良いやんわりと溶けて「満面の笑み」へとつながるのだそうです。

格付けが影響する食肉の価格
牛肉の格付けの際の脂肪交雑判定基準(上)と
肉色の判定基準(下)
肉の色、肉のきめ及びしまり、脂肪色、質をみて
肉の等級がきめられる

肉ごとに異なる、質の判断方法
 牛、豚肉については、取引をする場合の目安として、(社)日本食肉格付協会によって、格付けが行われています。
 牛肉については2つの等級があります。1つは歩留(生体から皮や内臓を取り除いた枝肉の割合)等級。歩留等級は、良い方からABCの3ランクがあります。
 もう1つは肉質等級。脂肪交雑、肉の色沢、肉のしまりときめ、脂肪の色沢と質の4項目を基本に、良いものから5、4、3、2、1まで区分します。この2つの等級を組み合わせ、B-3、A-5という形で表示します。
 豚肉については、「外観」と「肉質」によって判断します。「外観」は、呼称(プロポーションのこと。呼称が良くないと肉質が良くなく、肉の量も少ない)、肉づき、脂肪付着、仕上げの4項目で、「肉質」は、肉のきめ及びしまり、肉の色沢、脂肪の色沢と質、脂肪の沈着の4項目で、それぞれ判断します。
 その結果から極上、上、中、並、等外の5つに分け、もも、ロース、ばら、かたの4カ所に捺印します。「極上」は形が良くて、量に富み、肉はきめ細やかでよくしまり、脂肪の質も良く、肉と脂肪の色沢も良好で、赤肉と脂肪の割合が良いものです。「等外」は、テーブルミート(すぐ調理できるようカットされた精肉)にはふさわしくありません。
 食鶏の格付けは、「食鶏取引規格」によって行われます。この規格の品質基準では、生体、生鮮品、凍結品などを対象に、形態、肉づき、脂肪の付き方、鮮度などを基に、A級、B級の2等級を設けています。
 これらの等級によって、取引き価格が決まり、ひいては最終的に消費者が購入する価格にも影響します。